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INTERVIEW - VOL.4 デザイナー Philippe Hurel



インタビュー


写真・今のお仕事を始められたきっかけを教えてください。

ファミリービジネスの系譜としては父が化学製品の会社の社長をしながら、母方の家具工場の経営・管理を行なっておりました。
化学製品には特に興味がなく、どちらかというと幼い頃からデッサンが得意であったため、ごく自然に内装建築、家具の製作に興味を持つようになりました。その後1967年に米国で一年ほど学んだのち初めて、モダン家具のデザインこそが自分のもっとも興味のある分野だと意識するようになりました。




写真・今までされたデザイン、プロジェクトで特に印象に残っているものはありますか?

1999年に製作した上院議院用の会議テーブル以上に心に残るプロジェクトはありません。
ユニークかつ他に類を見ないシンプルな会議テーブルに自らのデザインと技術力を集約させ、大変困難な制約をクリアせねばなりませんでした。つまり、様々な用途に使われる空間で、最長でも90分のうちに設営・解体でき、なおかつデザイン性と機能性をもったテーブルでなければいけない。この要件をクリアすることができたことを今でも誇りに思っております。



・今回、秋の新作としてカッシーナ・イクスシーから発表されたMAIKO含め、ユーレルさんの作品名には特徴がありますがいつも何かにインスピレーションを受けて制作されることが多いのですか?

個人的に旅行が大変好きですが、職業柄さまざまな地域に旅する幸運に恵まれております。プロダクトの名前は旅をする中、自然に生まれて来たといえます。DATCHA(ダチャ)テーブルやTYROL(チロル)チェアは愛してやまないバイエルン地方のアルプスに滞在していた折に浮かんできたものであります。MAIKO(マイコ)チェアは勿論、私の度重なる日本滞在から生まれました。芸を極める美しい舞妓の姿は私がものづくりを極める姿勢に通じるものがあります。MAIKO(マイコ)やTAMIKO(タミコ)などの命名は楚々とした細やかさ、そして音的にも非常に美しい響きを持っており、我々ヨーロッパ人の記憶に残る余韻があります。これらのチェアが私どものコレクションを照らし出す象徴的なアイテムであることを大変喜ばしく思っております。(上部左はSIEGFRIED



写真・アメリカで教育を受けられた経験があるとのことですが、何か思い出はありますか?

1960年代にニューヨークで一年強学ぶ機会を得ましたがその際、私のような名もない若い内装建築の留学生にかの著名なレイモン・ローウィが象徴的な一言を投げかけてくれました。お会いして、ご自身のお仕事のことを話してくれた後、最後に、「もし本当にやりたいと思うのなら…何も考えずにやってみなさい!」(JUST DO IT!)

 

・ご自身の作品で意識されるフランスらしさはありますか?

私は偉大な文化と歴史を持った国に生まれましたので、自然と「フランスらしさ」を象徴する様々なスタイルがにじみ出るモノ作りをしているかと思います。日ごろよりデッサンの中にぶれない一本の軸を通し、不用なディテールを排除することを目指していますが、RUBAN(リュバン)チェアは私が常に追求し続けているこの哲学を体現するプロダクトの一つです。


・最後に日本のインテリアを愛する(ユーレルさんの作品を愛する)人々に一言

まず、私を常に温かく迎え入れてくれるお客様、建築家やコーディネーターの方々に感謝申し上げます。そして15年の長きにわたり、日本のお客様の満足を追求するために私を信頼し、ご一緒にコラボレーションしてくださっているカッシーナ・イクスシーならびに関係各社に心より御礼申し上げます。


 




写真 Philippe Hurel
デザイナー
フィリップ・ユーレルは、フランスで大きな成功を収めている家具デザイナーです。ベルギーで正統的なグラフィックアートとインテリアを学んだ彼は、後のアメリカでの研修からクリエイティブな分野における自由な創造の大切さを認識。これがフィリップ・ユーレルブランドの生まれるきっかけとなりました。
http://www.philippe-hurel.com/en/