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.「TANGRAM is5」の2種類のソファとスツールには、75度及び105度のコーナーがある。こうした角度はオフィス家具にはほとんどなく、従来のモジュール式ソファを大きく超える可能性がある。
近年のテクノロジーの進化によって、私たちのライフスタイルは大きく変わり、価値観も多様化した。そして、IT業界を中心に新しい仕事が次々と生まれ、空前のベンチャーブームが訪れている。成功しているベンチャーは、当たり前だけれども成長のスピードが早い。成長のスピードが早ければ、オフィスに求められる機能もどんどん変わる。特に昨今、勢いのある会社はクリエイティヴな分野で伸びているところがほとんど。つまり、いまどきのオフィス環境には変化に柔軟に対応できる能力に加え、クリエイティヴィティを刺激する仕掛けも必要とされているのだ。
そんな要望に応えてくれるのが、ドイツ生まれのオフィス家具メーカー「Interstuhl(インタースツール)」社のモジュール式ソファ「TANGRAM is5」だ。形状はたったの3種類。右・左片アームとオットマンの組み合わせだけで、待合から打ち合わせ、作業スペースなど、さまざまなシーンに対応することができる。これは、レイアウトを考えること自体がすでにクリエイティヴな作業ともいえまいか。ここ最近のオフィスでは、フリーアドレス制の導入や家具などのレイアウトによって限られたスペースを有効活用しようという動きが数多く見られる。日中、外出する社員が多い職場なら固定デスクは必要ないし、そのときのチーム編成によってくっついたり離れたりできるのもいい。また、家具がこういう可動式のものであれば、オフィスのレイアウトを自由に変えられていい気分転換にもなる。
テキスタイルの色を自由に選べるのも魅力。カッシーナ・イクスシー青山本店の3階で展示している。
また、数年前からいわれているのが、社員同士が円滑にコミュニケーションできる空間の重要性だ。会社がある程度の規模になってくると、同じ職場で働いている人の顔が見えにくくなる。そうすると目指す方向や価値観を共有するのが難しくなって、会社への愛着も希薄になる。いまの時代、部署を横断したプロジェクトなんて珍しくない。だったら、社内の人間と積極的に交流して、情報交換できたほうが仕事の効率がアップするし、意外な発想や違った意見に触れる機会が増えれば、それだけ新しいひらめきが生まれるかもしれない。「TANGRAM is5」のモジュール式ソファには、そんな人と人とが“つながり”を生み出すポテンシャルがある。
オフィスの受付スペースやパブリックスペースなど、自由な使い方ができるのが魅力。会社の規模に応じて徐々に増やしていくこともできる。
シートの高さやアームレストを兼ねた背もたれは多様な使い方を前提にして設計されており、さらにレイアウトの変更を想定して移動のしやすさにも配慮。シンプルなデザインゆえ、どんなタイプのオフィス空間にもしっくりくる懐の深さがある。たかがオフィス空間と侮ることなかれ。イノヴェイティヴなアイディアはしかるべき場所からしか生まれてこない。人と人とが自然につながり、会社のヴィジョンを共有できる。そして、優れたデザインは、自分もこの空間に見合ったパフォーマンスを発揮しなければ、という気持ちを社員に芽生えさせる。まさに、未来志向の先進企業のオフィスにふさわしいソファである。
Photos: Toru Yuasa
Edit: Toshiaki Ishii